【医師監修】デイリータダラフィルと他の薬の飲み合わせガイド:危険な薬や食品、アルコールとの併用について

  • 2026.01.22

こんにちは。大阪府門真市の【やすだ泌尿器科クリニック】院長の安田宗生です。院長通信ブログをお読みいただきありがとうございます。
今回は、ED(勃起不全)治療や前立腺肥大症の治療薬として処方される「デイリータダラフィル(低用量タダラフィル)」の飲み合わせについて日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医がわかりやすく解説します。

「毎日飲むタイプのお薬」として知られるデイリータダラフィルは、体内に成分を一定に保つことで自然な効果を発揮しますが、常に体内に薬がある状態だからこそ、他の薬や食品との飲み合わせには特に注意が必要です。

知らずに併用すると、血圧が急激に下がったり、副作用が強く出たりする危険性があります。安全に治療を続けるために、ぜひ最後までお読みください。


1. 【絶対禁止】併用してはいけない薬(併用禁忌)

デイリータダラフィルには、絶対に一緒に飲んではいけない薬(併用禁忌薬)があります。これらの薬を併用すると、血圧が危険なレベルまで下がり、最悪の場合、命に関わることもあります。

① 硝酸剤・NO供与剤(狭心症や心筋梗塞の薬)

狭心症や心筋梗塞の治療に使われる「硝酸剤」は、タダラフィルと併用することで降圧作用が増強され、過度に血圧を下降させる恐れがあります。

代表的な薬剤名(商品名):

  • ニトログリセリン(ニトロペン、ミオコールスプレーなど)
  • 硝酸イソソルビド(ニトロール、フランドルなど)
  • ニコランジル(シグマートなど)
  • 亜硝酸アミル

飲み薬だけでなく、貼り薬(テープ)や吸入薬、スプレーも対象です。ご自身が使っている薬が該当するか不明な場合は、必ず医師やお薬手帳で確認してください。

② リオシグアト(肺高血圧症の薬)

「アデムパス」という商品名で知られるこの薬も、併用により血圧低下を起こす恐れがあるため、一緒に飲むことはできません。

③ 新型コロナウイルス治療薬(パキロビッド)

2022年の添付文書改訂により、新型コロナウイルス感染症治療薬である「パキロビッド(ニルマトレルビル・リトナビル)」との併用が禁忌(飲んではいけない)となりました。この薬に含まれる成分がタダラフィルの代謝を強く阻害し、体内の薬の濃度を異常に高めてしまうためです。


2. 注意が必要な薬(併用注意)

以下の薬は「禁止」ではありませんが、併用することで血圧が下がりすぎたり、薬の効果が変わったりする可能性があるため、医師の管理下で慎重に服用する必要があります。

① 高血圧の薬(降圧剤)

タダラフィル自体にも血管を広げて血圧を下げる作用があります。そのため、アムロジピンやカンデサルタンなどの降圧剤と一緒に飲むと、めまいやふらつきなどの低血圧症状が出やすくなることがあります。

② α(アルファ)遮断薬

前立腺肥大症や高血圧の治療に使われる「ドキサゾシン」や「テラゾシン」などのα遮断薬は、血管を広げる作用が強いため、併用により血圧が大きく下がることが報告されています。
※タムスロシン(ハルナール)に関しては、明らかな血圧への影響は認められていませんが、注意は必要です。

③ 抗生物質・抗真菌薬(CYP3A4阻害剤)

クラリスロマイシン(抗生物質)やイトラコナゾール(水虫などの薬)などは、タダラフィルを分解する酵素の働きを弱めてしまいます。その結果、タダラフィルの血中濃度が高くなり、副作用が出やすくなる可能性があります。


3. グレープフルーツとの相性に注意

薬だけでなく、食べ物にも注意が必要です。特に有名なのがグレープフルーツ(ジュース含む)です。

なぜグレープフルーツはいけないの?

グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン」という成分が、薬を分解する体内酵素(CYP3A4)の働きを邪魔してしまいます。 通常、タダラフィルはこの酵素によって分解されながら体外へ排出されますが、グレープフルーツを摂取すると分解が追いつかず、薬が効きすぎたり、副作用が強く出たりする可能性があります。

注意すべき柑橘類

グレープフルーツだけでなく、以下の柑橘類もフラノクマリンを含んでいるため控えたほうが無難です。

  • スウィーティー
  • ブンタン
  • ハッサク
  • 夏みかん

※温州みかん、レモン、オレンジジュースなどは問題ないとされています。
デイリータダラフィルは医薬品ですので、お水やぬるま湯で服用してください。


4. アルコール(お酒)との飲み合わせ

「お酒を飲んでも大丈夫ですか?」という質問は非常によくいただきます。 結論から言うと、適量であれば問題ありませんが、飲みすぎには注意が必要です。

タダラフィルとアルコールは、どちらも血管を広げる作用があります。そのため、お酒を飲みすぎると相乗効果で血圧が下がり、めまいや立ちくらみ、ふらつきが起こりやすくなります。 また、泥酔状態では神経伝達が鈍くなり、逆に勃起しにくくなることもあるため、お酒は「たしなむ程度」に留めるのが治療成功のコツです。


よくある質問(Q&A)

ここでは、患者様からよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 風邪薬や頭痛薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?

A. 市販の風邪薬や解熱鎮痛薬(ロキソニンやイブなど)との併用は、基本的に問題ありません。ただし、風邪薬の種類によっては成分が重複したり、稀に飲み合わせが悪いものが含まれていたりする場合もあります。心配な場合は、お薬手帳を持参して医師や薬剤師にご相談ください。

Q2. デイリータダラフィルを飲んでいるときに、コロナにかかってしまいました。治療薬は飲めますか?

A. 注意が必要です。前述の通り、コロナ治療薬の「パキロビッド」はタダラフィルと併用できません(併用禁忌)。コロナと診断され薬を処方される際は、必ず「タダラフィル(またはザルティア、シアリス)を服用している」と医師に伝えてください。その期間はタダラフィルの服用を休止するなどの指示が出ることがあります。

Q3. サプリメントとの併用は問題ありませんか?

A. 亜鉛やマカなどの一般的なサプリメントであれば、基本的に併用しても問題ありません。ただし、海外から個人輸入した精力剤などには、表示されていない医薬品成分が含まれているケースがあり、健康被害のリスクがあります。サプリメントを摂取する際は、信頼できる国内製品を選びましょう。

Q4. 飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

A. 飲み忘れたことに気づいた時点で、その日の分を1錠服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は、忘れた分は飲まずに飛ばして、次の決まった時間に1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲まないでください。副作用のリスクが高まります。


■まとめ

デイリータダラフィル(ザルティアやシアリスのジェネリック等)は、毎日服用することで常に体内に成分がある状態を維持するお薬です。そのため、飲み合わせの悪い薬や食品を摂取すると、その影響をすぐに受けてしまう可能性があります。

【重要なポイント】

  • 硝酸剤(心臓の薬)は絶対NG
  • コロナ治療薬(パキロビッド)もNG
  • グレープフルーツは控える
  • お酒は適量で

ED治療薬を処方された病院と別の病院にかかる際や、お薬が処方された時は処方箋薬局で、必ずタダラフィル/デイリータダラフィル(低用量タダラフィル)を服用していることを医師や薬剤師に伝えてください。市販薬ではそこまで心配することはないですが、薬剤師に伝えていただくことが良いかもしれません。
※自費診療でデイリータダラフィルを服用している場合、ご自身でお薬手帳に記載いただく必要があります。お薬手帳をお持ちの場合はメモ欄等に記載してください。

安全に服用し、健康的な生活を取り戻しましょう。飲み合わせについて不安な点があれば、ED治療時や次回診察時にご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個人の体質や病状によって異なる場合がありますので、詳細は必ず主治医にご確認ください。